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「なんだ? これ」
そこで俺はひとつの記事に目を止めた。
それは、それこそ俺が求めていたような、ページの隅っこのほうに、まるでわざとほかの募集に紛らわせて気付きにくくさせているのではないかと思われるような小さな小さな募集記事だった。
掲載内容もしごく簡単。
こういう掲載って大きさとか文字数で料金が決まるのだとしたら、おそらく最安値。
偶然気付く人がいたらラッキーってなくらいの、一言でいえば、やる気のない記事。
なのに。
なのに、だ。
俺はそこに提示されていた報酬の金額に目を丸くした。
ふつうアルバイトといえば、時給いくらだとか日給いくらだとかの書き方をするはずなのに、そこに書かれていたのは給料ではなく報酬という書き方だった。それだけでも変わってるのに、その金額がなんと、十日で二〇万。
「……って、え? マジ?」
思わず口をついて出てしまったほど驚いた。
十日で二〇万ってことは、単純に一日で二万。時給換算すればいくらになるんだろう。どっちにしてもコンビニなんかのバイトでは稼げない金額だ。肉体労働でもここまでの高額はないんじゃないかな。
で、気になる内容はというと、人間の行動心理学実験の被験者。
「……ってなんだよ、それ」
聞きなれない言葉に一瞬思考が停止する。
募集人数は二名~十名。状況により追加募集もあり。
年齢性別学歴問わず。
実験内容としては、二人一組で密室にこもり、簡単な課題をこなしてもらうというもの。
ただし、実験の期間は十日間。その間完全に外界との接触は禁止。一時帰宅等も不可ということが書いてあった。
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