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「警告ってことは、とりあえずいきなりここで実験中止ってわけじゃないってことだよね」
「だろうな」
にしてもヤバかった。油断するにもほどがある。いくらいつもどおりふつうに遊んでるような感覚になってたからって。これは実験なのに。仕事なのに。
「ごめん。俺がユウのボトルシップを見てみたいなんて言ったから」
「違うよ。家においでって言ったのは僕だ」
「先に行きたいって言ったのは俺だ」
「でも……」
「俺が悪い。ごめんな」
「…………」
俺が項垂れていると、ユウが無言でギュッと俺の手を握ってきた。
「……ユウ?」
「ケイは悪くない。絶対悪くない。だって家に来てほしいと思ったのは僕のほうだ。家の場所を教えかけたのも僕のほうだ。ケイが聞かなくても、きっと僕はそのまま話してた」
「…………」
「そしてもしそうなってたら、警告どころじゃない、いきなりレッドカードが出されてたはずなんだ。だから……」
きつく手を握りしめたまま、ユウが顔をあげ俺を見た。
真っ直ぐにこっちを見つめているユウの綺麗な瞳。長い睫毛。さらさらの前髪。こんな時だっていうのに、俺はその真摯な表情をまるでうっとりするような心持ちで見つめ返していた。
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