『課題③:協力・調和』

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 その時、ふいに心に湧いた気持ちを行動に起こさずにすんだのは、両手がユウの手に握られていたから。  そうじゃなかったら、俺は。  俺は。  何をしようとしてたんだろう。  自分でもよくわからない衝動が心の中を駆け巡る。 「ケイ……?」 「…………」 「ごめんね、ケイ」  無言のまま動こうとしない俺を気にしてか、ユウが不安げに口を開いた。そしてまた一歩、俺のほうに近づいてくる。  どんなに近い距離で見つめても、やっぱりユウは綺麗だと思った。 「なあ、ユウ」 「……なに?」 「本当に、遊びに行ってもいいか?」 「え?」 「このまま無事、十日間過ごし終わったら、遊びに行ってもいいか?」 「ぼ…僕ん家にってこと?」 「そう。いい…かな?」 「いい…けど」 「やった!」  ユウがこくりと頷いたその瞬間。俺達の関係は単なるバイト仲間から友達へと昇格した。  いや、俺にとっては友達以上。親友といってもいいくらい。  それくらい、俺はユウのことを気に入り始めてる自分に気付いていた。  なんだか不思議だ。  どっちかというとユウは文化系で俺は体育会系に属するタイプだ。だからもしユウが同じクラスにいたとしても、特別進んで話をしたとは思えないのに。出会った初日は、今までの俺の友達にはいないタイプの人間だよな、なんて思ってたりもしたっていうのに。     
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