『課題⑥:接触・連係』

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「そんな気にしないでよ。僕としてはこれでよかったって思ってるんだから。それに怖かったのって最初だけで、すぐケイが護ってくれただろ」  護ったっていうか、抱きしめたっていうか。  俺としては途中からなんか主旨が変わってきてたような気もするから、ちょっと後ろめたかったりもするんだけど。 「く…苦しかったりはしなかったか?」 「別に大丈夫。むしろ温かくって心地良かった」  素直にユウが笑うので、俺の後ろめたさ加減に拍車がかかる。  こんな調子で俺、大丈夫だろうか。  そして次の課題は俺のそんな不安をもろに後押しでもしてるのかと思えるような、言ってみればひどく意地悪な課題だった。  接触・連係。  つまりぶっちゃけて言うと、握手または指を絡めるなどの方法で、一日中手を握り合えってことだったんだ。しかも離していいのは一日のうち二回、五分以内。いわゆるどうしても両手があいていなければいけない着替えの時にだけ、離してもいいということらしい。  さらに実験開始は日付変更時で、終了は夜中の十一時五〇分頃を予定。開始はともかくあらかじめ終了時間まで指定されたのは初めてで、だんだん課題内容が細かく、難しくなってきている証拠にも思えた。 「でも、手を繋ぐって……そんなの眠ってる間もなんて無理じゃないか」 「だから道具が必要みたいだよ」     
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