『課題⑥:接触・連係』

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「じゃあ次は身体だな。とりあえず自分で洗えるところはパパッと洗っちまおう」 「了解」  ユウに引っ張られてかどうかわからないけど、少しずつ俺も楽しくなってきて、それに伴って心臓のドキドキも治まってきたような気がした。  首や胸、お腹や足は片手でも問題なく洗えるので、まずはそういった部分を自分達でこなし、繋がっている方の腕もなんとか洗い終え、俺達はそのまま交代で相手の自由なほうの腕を洗い始めた。  片手を繋いだ状態で、相手の腕を洗うってのは、なんだか意味不明で。その意味不明さ加減がおかしいのか、ユウはまたくすくすと笑っていた。  軽やかなユウの笑い声が風呂の壁に響いて微妙なエコーをかける。  俺も腕はともかく脇の下を洗われた時は、さすがに笑ってしまった。まあこれはくすぐったかったからってことだけど。  そして。 「背中……どうする?」  今現在俺達の手は正面から向かい合った形で繋がっている。もちろん握り方は指を絡めた恋人繋ぎだ。さすがにどう考えても、この状態で相手側に背中を向けられるほど器用じゃない。 「えっと……やっぱこのまま向き合って背中に手を伸ばすしか…ないってこと…かな?」  頼むから、言い方がしどろもどろになってしまうのを責めないでほしい。     
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