200人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
さっきは俺がお湯の代わりに水をぶっかけたおかげで、なんとかすぐに治まり、結果的にことなきを得た。でも治まったからってもう事実は変えられない。
俺の心臓がいまだにドキンドキンといつもより大きな音で脈打っているのも事実。
ユウの髪の、洗いたてのシャンプーの香りがふわりと鼻をくすぐるだけで、心臓が跳ね上がるのも事実。
つながった手。絡み合った指。それを離したくないと、思っていることも事実なんだ。
どうしてだろう。
俺、どうしてこんなこと思ってるんだろう。
どうしてこんなにまでユウの事。
「…………?」
俺がそんなことを思っていると、ふいにユウが俺の手を引っ張りながらベッドに身を投げ出した。当然のごとく俺も一緒にベッドに倒れ込み、ユウの上に覆いかぶさる体勢になる。
「ばっ……急に危ないじゃないか。そんなことしたら」
「……したら、なに?」
したら、また。
「……事故が…起こるだろ」
「事故って……?」
ユウの目が僅かに潤んでいるような気がするのは、俺の気の所為かそれとも願望か。
おもわずギュッと握った手に力を込めると、ユウも同じように握り返してきた。
「…………」
俺に組み敷かれたままユウが俺を見つめている。
すぐ目の前にあるユウの顔は、吐息がかかるほど近い。
最初のコメントを投稿しよう!