『課題④:観察・注視』

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『課題④:観察・注視』

 サグラダファミリアの立体パズルが完成したのは、ずいぶんと夜も更けた頃だった。  でも、なんだかまるで文化祭前に泊まり込みで展示物を作ってるみたいな感覚だったので、俺としてはそんなに疲れたって感じはしなかった。まあ、それでもさすがに夕飯を食べながらの作業になってしまったのは大変だったので、無事塔が完成し、終了のアナウンスが流れた時は二人して諸手を挙げて万歳三唱してしまったんだけど。  後片付けを済ませ、交代で風呂を使い終えた時点で時計はすでに十一時。次の課題の発表時刻だ。俺達はまだポタポタと髪から滴をこぼしながら、モニターに表示された明日の課題に目を通した。 「観察・注視……?」  次の課題内容は相手を見る、観察するというものだった。  といっても単純にずーっと見つめ合ってにらめっこしていろってことじゃない。趣旨としては、結果的に相手を見る、そして相手に見られるってことになれば良しということなので、お互いがお互いをモデルにして絵を描くことというのが課題のための行動として指定されたものだった。     
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