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『課題⑥:接触・連係』
ユウが怯えていた原因は、どうやら雷の音だったらしい。
耳栓もアイマスクも外し、お互い課題から解放されてのんびりと夕食を食べている時、ユウがそう教えてくれた。
「雷って、音と光が合わさってはじめて怖いものかと思ってたんだけど、そんなことないね。っていうか、周りの様子がわかんなくて音だけってのが、あんなに怖いものだとは思わなかった。ごめんね。しがみついたりして」
「いやいやいや……別に」
こっち的には役得だったわけで。
って、おい。なにが役得だ。
だんだん自分の思考回路が自分でもわからなくなってきた。
にしても、雷か。
少なくとも俺の目には稲光なんか一度も映らなかった。考えてみればここは地下なんだから当たり前なんだけど。ただ、それをいうなら音のほうだってそうだ。どんなに近くに落ちたとしても、ユウをあそこまで怯えさせる大きさで雷の音が届くなんて考えられない。
つまり今日の雷は偽物。ターゲットはユウ。
ユウを怖がらせるためだけに仕掛けられた偽物ってことだ。
「ごめんな、ユウ。やっぱ俺が目隠しのほうやればよかった」
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