現在 ∞

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―…… 目を覚ますと、見たことない天井。 ここはどこだ? 「秋!?」 葵の呼掛けと共に、視界に葵が現れる。 「葵…?」 そう呼ぶと、視界に直や慎が現れた。 「居たのか…お前ら」 2人きりじゃないのかと思って出た発言に、2人からブーイングが上がる。 状況からして病室だ。 「どんだけ心配したと思ってるのさ」 「はいはい、目覚めにヤロー2人は要らなかったってことね」 2人は不満を口にして個室の病室の椅子に座る。 俺は自分の状況を知ろうと、手を確認した。 右腕が怠くて痛い。 「右腕が打撲してるの。骨には異常ないから」 葵か教えてくれてホッとした。 ギターは弾ける。 直が自動ベットのボタンを押して、上半身を少し起こしてくれた。 俺の目に入ったのは右足。 右足にギブスが巻かれている。 「右足が骨折。全治1ヵ月」 慎の解説に左手で頭を抱えると同時に触った額が痛かった。 「額は10針」 「マジか…」 直の言葉に驚く。 「石畳の階段てっぺんから人間抱えて落ちて、それくらいで済んだのは幸いだよ」 直はそう言ってナースコールを押して、俺の意識が戻ったことを伝えた。 「葵ちゃんを無傷で救ったのもグッジョブ」 慎は葵の背中を軽く押して、俺の側にやる。 「無傷…」 葵は頷く。 良かった… 安堵する。 ただ、葵の表情は優れない。 葵に声を掛けようとしたタイミングでノック。 白衣の男性が入ってきた。 「Are you feeling?」 「Yes. Its ok.」 白衣の男性は俺の点滴の様子を見て、俺の目の下や指を目で追わせる動作などをして診察する。 白衣の向こうに、沈んだ葵を見る。 きっと、責任を感じている。
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