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「こんにちは、お嬢ちゃん」男は笑みを浮かべて挨拶をする。笑うとくしゃっと目尻に皺が寄り人懐こいと言うか人当たりの良い印象を与える。まず不審者だと通報される心配のない顔だ。
だが少女はギロリと男を睨むように一瞥し何も言葉を発しない。
あれぇと苦笑いを浮かべる男。お嬢ちゃん呼びが不味かったのかと思い、めげずに再び声をかける。
「お嬢ちゃん呼びが嫌だったかい?何分君の名前がわからないから呼びたくても名前が呼べなくてねぇ…オジサンにお名前教えてくれないかい?」
すると再び睨まれる。穏やかな口調をと心掛けたが今度は小さい子に話しかけるような口振りになってしまった。
話せば話すだけ墓穴を掘っていくような気がして男は困ったように笑った。
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