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3年生が引退して3ヶ月。
6通目の退部届けを受け取った。
それでなくても少人数の女子卓球部は、チーム戦に参加できるギリギリの4人にまで減った。
「部長。矢島さん!矢島さん!!聞いてる!?」
『何?』と、部長の矢島美里は、A4のノートの隅に一言書き添える。
喋れないのではない。彼女は、「喋らない」のだ。
家庭環境だとか過去のトラウマだとか、噂は様々あるけれど、何が定かであるのかは、チームメイトの小野道子ですら知らない。
けれど、美里は学年一の秀才で、卓球の腕前もかなりのレベルなことは確かだ。
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