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「だから学校からすれば、写真部の話は禁句」
「でも、そんなの昔の事件でしょ。今の私たちには関係ないし」
Hさんはゆっくりと首を振って否定した。
「Nの失踪後、校内で持主不明のカメラが見つかるという報告が相次いだの。カメラは落とし物として鍵をかけて保管しても、しばらくすると煙のように消えて、また校内で見つかる。さすがに何回も届けられるものだから、持ち主を特定するために保存されているデータを確認すると、不気味な廃墟の写真が延々と撮影されていた」
「……それって」
誰ともなく疑問の声を漏らすと、Hさんは首肯した。
「カメラの特徴を当時写真部に在籍していた生徒に確認すると、Nが使っていたミラーレス一眼と一致した」
Tさんたちは、引きつった顔を見合わせた。すでに涙目になっている子もいる。
「文化系の部活では、伝統のように語り継がれているうわさなんだけどね。担任も赴任して日が浅いから、知らなかったんでしょう」
「いまだにそんなうわさが絶えないからなんて理由なら、余計に納得できないよ。私たちは心霊写真なんて興味ないし」
Tさんはそう力強く言ったが、Tさん以外のメンバーは「そんな理由があったなら仕方がない」と及び腰な態度を示した。
「もし反証したいのであれば、うちの部室に資料があるよ。私、新聞部だから」
Hさんの申し出にも、みな苦笑いを浮かべるだけだった。
結局、TさんはHさんと二人で新聞部の部室へ向かうことにした。
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