春浅い日

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 「いいのよ。そんなこと。もう時効、時効。」  「ならよかった。りさ子さんのことだから、自分のどこが悪かったのだろうと自分で自分を責めていないか心配だったんだよ。でも、若かったから、高校時代、廊下で別れてからすれ違っても何といえばいいかわからなかったんだ。」  田島は続けた。  「夢の中にりさ子さんが出てきて泣いていたんだ。本当に何もないの?」  「ないない。ほら、このとおり元気だよ。」  りさ子は受話器越しにケラケラと笑った。  「ならよかった。もしよければ、メールアドレスを教えて。ただ単に昔話がしたいから。ほら僕と仲の良かった谷口も伊藤も元気だよ。」  男と女の二十年ぶりの再会。電話ではあるが、再会。  メールで会話を重ねていくうちに、家庭を持ったことや仕事でわきおこる様々な悩みもつかの間ではあるが忘れることができた。   田島もりさ子と同じ43歳。中学生と小学生の息子と娘がいることがわかった。東京の大学を卒業後、家電メーカーに勤め、新商品が発売されるとプロモーションのために日本はもとより海外へも出かけることを知った。立派な企業戦士である。家族と東京住まいである。あの頃が懐かしいね。田島がメールをくれる。  「やさいを食べ
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