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ロワと出会ってからちょうど一年ぐらいだろうか。
去年のこと。
まだ四歳だった僕は、初めて母親からおつかいを頼まれた。
自分もついていくと駄々をこねる父親と、呆れた様子でそれを諌める母親に
「いってきます」
と言って、家を出る。
まったく、おとうさんはしんぱいしょうすぎだよ...。
と、心の中で溜め息を吐く。おつかいといっても、家からほんの数百メートル先の
家に母親が作ったパイを届けるというだけの簡単なものなのだ。
こののどかな村では、何か物騒なことが起こるほうがありえないのに。
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