2/2
前へ
/26ページ
次へ
 それまで大衆受けのよかった日野里子の小説が、大幅に変貌を遂げたのであります。その裏には秘密がありました。  それをさらりと明かしてしまいましょう。 「図覧回覧」の作者は、実のところ日野里子ではないのです。名義は彼女の名義ですが、実作者は全く違う人間でした。  狭山合掌という名の男で、彼は日野里子とひとつ屋根の下に住まう、恋人でありました。  彼は、度々、日野里子の小説のアイデアや執筆の助けをしていたのです
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加