13人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、奏太は学校の登校時間より早く行きいつもの帰り道にあるfelicita(フェリチタ)の前にいた。
そこには、朝から働くあの人の姿があった。
(朝から働くあの人の姿もいいなぁ~)
そう心の中で思いながらお店を見つめてぼーっとしていると目の前から声が聞こえた。
「どうしたんですか?」
すると目の前にはいつもガラス越しにずっと見ていた男が目の前にいた。
「はぁっ!」
「どうしたんですか?私のお店ばかりずーっと眺めていて」
奏太の鼓動が高まり、あまりの恥ずかしさに奏太は逃げるように学校へと向かった。
そんなことがあった帰り道奏太はいつも通りにガラス越しにいつもの男を見ていると、奏太を見つけた途端中から駆け足でお店の外にいる奏太に向かって走ってきた。
「あの、いつもありがとうございます。今日の朝逃げちゃったから気になって外まで出てきちゃいました。」
奏太に男が言うと奏太は下を向きながら、
「いゃ…妹が楽しみにしてるから…でっ!でもっ!僕も好きですよ!」
奏太は自分の言った言葉に恥ずかしさを覚え顔を真っ赤にしていると、顎をクイッと持ち上げられると男はこういった。
「ありがたいです。私も好きですよ!自分の作ったケーキを美味しく食べてくれる人は」
そう、男は奏太に言った。
奏太はその言葉に自分の中に潜んでいた心のモヤモヤが奏太の心を締め付けるように胸が痛くなった。
(やっぱり、僕はあなたにとってただのお客様、そんなのはもう懲り懲りだ…)
そう思い奏太は自分の手を握りしめ口を開いた。
「もう僕はこんなに胸が苦しくなるような人生にはもう…懲り懲りだ!」
いきなり怒り出した奏太に男はビックリしたが、優しい顔で奏太を見つめながら奏太の話を聞くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!