第2章 必然は未知

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「あの、いつもありがとうございます。今日の朝逃げちゃったから気になって外まで出てきちゃいました」 幾月は自分の言葉に少し違和感を覚えた。 「(あれ?私はそんな心配しに来たのか?)」 すると、男の子は恥ずかしがるように答えた。 「いゃ…妹が楽しみにしてるから…でっ!でもっ!僕も好きですよ!」 幾月はケーキを褒められて嬉しい…ハズ…… なのになんだか胸の中のモヤモヤが膨らむばかりだった。 「(今は褒められたいわけじゃない…じゃあ何を?)」 幾月は男の子の顎を持ちながら言った。 「ありがたいです。私も好きですよ!自分の作ったケーキを美味しく食べてくれる人は」 咄嗟にした行動に自分自身の方がドキドキしていた。 「(なんで僕はこの男の子の顎なんて持ったんだ?普通に言える言葉なのに…)」 すると、男の子の顔が急に険しくなり叫んだ。 「もう僕はこんなに胸が苦しくなるような人生にはもう…懲り懲りだ!」 幾月は自分の今の気持ちをこの男の子に代弁されたような気がした。 「(この男の子は僕が胸の違和感を抱え始めるよりも前から胸の苦しみを耐えていたような言い方だ…ずっと、ずっと昔から)」 すると、男の子は話し始めたそして幾月は言われた。 「あなたが好きです!」 そう言われて幾月は気づいた。 「(私の胸の高鳴る音、体温が熱くなり胸の奥がギュッとなるのは、これが原因だったんだ…私はこの名前も知らない男の子が……好きなんだ…)」 そして、幾月は誠意を持って男の子に返事した。 「高嶋幾月(たかしまいづき)それが私の名前だよ。小さくて可愛い僕の彼氏君。」 そう言って幾月は後ろを向いた。 幾月の顔は赤く染まりこのまま談笑できる状態ではなくお店に向かいゆっくり歩いて行くと後ろから声が聞こえた。 「葛城奏太!それが僕の名前です!」 「(そうた…か…それが僕の恋人の名前か)」 幾月はその後色々考え過ぎて、いつの間にかお店の工房で寝てしまっていた。
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