呪いの行方

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そこで 彼の大好物 猫屋の羊羹土産に やって来たのだが 所長 相変わらずずぼらな性格で さっきまで寝ていたのがわかっちゃいますね 髪の毛には 物凄い寝癖つきっぱなしだし あと 着ているのは パジャマがわりの ジャージじゃないですか 全く しょうがねえな しかし とびきりの話を彼が もたらしてくれるので しゃあないかと済ませているのだが まあ いい そうそう 彼の口癖 ここで 書いて起きますかね 「本当の苦しみを持つ悩み事があるならば 必ずここへやって来る」と 言ってるのですが まあ その意味を 始めて取材に来たとき 聞いたらば 電話やネットなんかの情報なんぞなくても そして あの目が回るような 急な坂を目の前にしても 本当の苦しみから救ってもらいたければ ここまで 必ず来ることが出来るってことだとか ちなみに 電車の駅も バス停さえもなく まさに 坂を歩いて登って来るしかなく タクシーを呼んでも あの急な坂はダメだと断られるとか。。。。。 始め 聞いた時 呆れて物も言えなくなった私でしたが 実際 この相談所(またの名は 坂の上の相談所)にもたらされる悩み事の99%は 物凄い 恐ろしい案件なのに 吃驚させられては ここへ 月に一回は 必ず 取材にやって来ることに 私はなっているのだが さて 今回も なかなか 興味深い話を聞かせてもらえるようでして 猫屋の羊羹 上を奮発してきた甲斐がある予感がしてますが 当の ご本人 誠 糺(まこと ただす)所長 まだ眠いのか  ふわーっと大きなあくびをしては 今にも 寝ちゃいそうなので もうひとつの大好物 外国産の高級煙草を 一本出しては 目の前につき出せば   現金なもので 目をぱっちりと開けては その煙草に火をつけて 一服始めています 全くなあ  では そろそろ 今回の案件を話しましょうかね! と やっと 重い口を開いた 誠 糺所長 煙草を吸い終わっては  口ひげなんぞ 触ったりしつつ 話を始めました 「今から 一週間前にな ここへ やって来たのは 可愛らしい 女子大生じゃったなあ 名前は 白鷺 美紀(しらさぎ みき) 優清女子大の四年生だとか 私には 女子大のことはさっぱりわからんが いい大学みたいじゃったなあ」 「優清女子大って言えば 超お嬢様大学じゃないですか」
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