目覚めた後で

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 ずっと望んでいた。あの男に懸想して、あの男を汚す夢を見ていた。あの腕に触れられたかった。退部してその馬鹿な思いも捨てるって決めたのに。  健二を呼ぶ声。唇の柔らかさ。荒い息遣い。強烈な痛みも男が与えたものだと思えば、憎めない。忘れられない。捨てられない。 「うー…なんで抵抗しないんだよ、俺の馬鹿」   男から解放される日は遠い。 了
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