目覚めた後で

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 鋭い眦にはうっすらと涙の膜がはっており、徐々に潤んでいくのが見えて健二はたまらなくなった。  健二は慰めるように遼の頬に触れる。 「落ちつけよ。遼。な? そんなかっかすることじゃないだろ」 途端に健二の腕は掴まれてしまった。睨む眼光は一層強くなり、はっきりと遼は告げた。 「そんな言葉一つで。俺がお前の言いなりになるわけないだろ。……お前の思うようにしてたまるか」  両肩を強く押された。健二が抵抗するまもなく遼は身体ごとぶつけてきた。腹の上にのしかかられて健二は呆然と見上げた。 「黙ってれば俺の気がすむ、なんてこともありえないから。その甘い考え、ぶち壊してやる」    次の瞬間、遼は健二の顔の横に手をつき、身体を前に倒した。間近に迫った整った顔に健二が驚いているうちに唇に吸い付かれた。口をこじ開けるように生暖かいものが口の中に入ってくる。上から頭を抑えられ、ぬめったものに舌を掠め取られて身体が勝手に震えた。  遼の行動に呆気に取られていた健二は生々しい感触に何が自分の身に起こっているのか、嫌でも自覚する羽目になった。目を見開く。 「なに、っ、んぅっ!」  健二は抗うように身を捩るも頭を抑えられ、遼の暴挙をとめることはかなわなかった。     
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