目覚めた後で

15/26
前へ
/26ページ
次へ
 出会ってから好きで好きでたまらなかった。当の昔にその気持ちは捕手が投手に寄せる好意の枠を超えている。想像で男を汚したこともある。怖いくらい好きな男に触られて、嬉しくないわけがなかった。  舌打ちした遼は健二の上から降り、無言で健二の制服を脱がせにかかった。ずるっと下着ごとスラックスをずらされ健二はたまらず声を上げた。 「ちょっ、おい、遼、やめろって。頭可笑しくなったのかよ! お前を振り回したのは悪かったと思ってるよ! ホントごめんっ…謝るからさ、なぁ! やめろって」  じゃないと戻れなくなる。折角逃げた意味がない。  声がみっともなく震えた。 「……嫌なら殴ってでも逃げろよ」 遼は健二の問いに答えることは無く、立たせた膝の間に 身体を滑り込ませた。露出した下肢を見るなり、馬鹿にするように笑った。 「なんだ、お前、ちょっと反応してんじゃん。お前、嬉しいの? ちょろすぎるだろ」  健二は自分の身体が反応していることに絶望する。自分の身体にさえも裏切られたようでショックだった。  ゆるく竿を掴まれ、雑に扱かれる。 「あ、あっ!」  下肢が熱を持ち、立ち上がっていくのが感覚でわかって、健二は惨めさに打ちのめされた。 「はは、…心底イラつく。お前は、身体も誰にでも愛想がいいんだな」  目の前の男が目の前が眩むほど憎い。それなのに手が出せない自分がなさけなく、惨めだ。     
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加