目覚めた後で

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「その性格も、身体も、全部が苛々する」 「ひ!」  性器から手が離れた。自分でもそうそう触れない奥まった場所を強く押されて、健二は身体が飛び上るほど驚いた。異物が中に入ってくる感覚にぎょっとして健二は遼を見つめる。 「な、なに」  右腕の指が中に入っていた。それがわかった瞬間に健二は内部を犯される違和感や圧迫感よりも、重い罪悪感に襲われた。ボールを握るためにあるあの指が自分の中に入っているなんて、いたたまれない。あの筋張った固い指を思い出して健二は悲鳴じみた声を上げた。 「ばか!やめろ!あほか!き、きたな」  健二は身体を横にして逃げだそうとするも、股の間に居る男には何の障害にもならなかった。  必死の言葉を無視し、遼は坦々と抜き差しを繰り返す。  またみっともない声が零れそうになって健二は両手で口を抑え堪えた。 「っ……、っ」  気付かないうちに指が二本に増え、健二の内部を広げるような動きに圧迫感が酷くなり、たまらず健二は目を瞑った。 「うぅ」 「このままだとお前、俺にやられちゃうぜ?いいのかよ、健ちゃん」  茶化すようなノリで笑っているのが顔を見なくとも健二にはわかった。     
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