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熱を帯びたかすれ声に逆らえない。健二は言われたとおり口を開く。その瞬間舌が潜り込んでくる。
「ふ…っ」
鼻に抜ける吐息が毀れた。
「健二。健二」
まるで熱に浮かれたように名前を呼ばれると身体に力が入らなくなった。
遼の雰囲気が幾分か柔らかくなり、口付けが甘ったるいものに変わっていく。甘い痺れに健二はなすがままになった。先ほどまで頭を占めていた恐怖や憎さのような負の感情が溶けていく。
萎えてしまっていた下肢に指がかかり、そのまま扱かれる。腰の動きが再開されたが、僅かに痛みが引いていた。下肢に生まれる快楽に意識を逃がす。
「ん、ん」
ぐちゅ、ぐちゅっ、と繋がったところから湿ったような音がもれていて、健二は一気に恥ずかしくなった。
遼は小さく吐息を漏らしながら、窄まりの縁を指で広げる。自身を受け入れている内壁の奥まで自身を収め身体を震わせた。
「は…っ、お前のつけた傷なんて、屁みたいなもんだ」
遼は激しく腰を動かしながら、言葉を続けた。
「…お前が気にすることじゃない。もうお前は………俺の捕手じゃない…っ」
言われて初めてそうだったと健二はやめてしまったことを思い出して息が詰まった。この男を支えるのはもう自分ではない。そう思うと足元が揺らぐように思えた。
「りょっ、んっ、んっ」
「もういい」
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