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――それから、お父さんと調べものをした。
分かったこと。しゅるいはヤマトカブトムシ。日本のカブトムシは、ほとんどこのしゅるい。そして、元気になるには、やっぱりえいようをたくさん取ってようすを見ることしかないということも。それを聞いて、ゼリーをもう一度見るけれど、減った様子はない。
「ヒメ、食べないと元気になれないだろ、ほらっ」
もう一度ゼリーをヒメの前につきだすけれど、やっぱり食べてはくれない。――ただただヒメが元気になることを願いつづけることができたら、辛くないのかも知れないけれど、こんなときにタツヤの言葉が頭の中によみがえってきた。
『こいつ、もうながくないだろうな』
くもった声。それは、トンネルの中で叫ぶように頭の中にひびく。
ヒメは元気になるのかな。その答えが、どこかで分かっているようで、そう考えてしまう自分に少しだけ腹が立った。
わたしは、考えることがつらくなって、逃げるようにして本棚からファーブル昆虫記を取り出して読みふけった。好きで好きで、もう何度も読んでいる本だ。
学校のみんなみたいにゲームもするけれど、わたしは、こうして図鑑や本を読むのが好き。
ファーブル昆虫記、シートン動物記、どくとるマンボウ昆虫記。魚や恐竜、虫、動物図鑑、写真集。本の外でも中でも、わたしは生きものが大好きだ。
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