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階段をかけ足でどたどたと下りる。
お母さんがかわいた声で、「落ちつきなさーい」と言った。けれど、お父さんから今日から休みだと聞いていたから、とても落ち着いてなんていられなかった。
「お父さん、お帰りー」
「ただいま、りお」
「今日から、お休みなんだよね」
「ああ、そうだ」
お父さんはひざを曲げて、わたしと目線を合わせてにっこりと笑った。
うしろからお母さんが、「相変わらずお父さん子ねえ」とあきれがちにつぶやいた。
「あなた、早かったのね」
「なんとか切り上げてきた」
「おつかれ様。ごはんできてるわよ」
鼻をひくひくさせると、ソースと油のにおいがした。
夕飯は、エビフライとポテトサラダ。そして野菜スープだった。
お母さんは足が多い生きものが嫌いだから、エビが出てくるのはめずらしい。
「むきエビが安かったのよ」
「お母さんエビむけないもんね」
「言ったでしょ。足が多い生きものは苦手なの」
お父さんが相変わらずだなと笑った。
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