76食目 ストーカー

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「はい?」 管理人室のドアが開き出てきたのは齢70くらいの男性、すると飯田はニコリと笑い男性にこう言った。 「すみません、僕達先ほどこのマンションに入ってきた女性の落とし物を拾って届けに来たんです これなんですけど………」 そう言って飯田が取り出したのは口紅で、どうしてコイツがこんなものを持っているんだと疑いの目を向ければ思い切り足を踏まれた。 男性はわざわざありがとうございますと言い、女性の特徴を教えてくださいと聞いてきたので特徴を告げた瞬間、男性は持っていたペンを落とした。 「それ………本当なんですか………?」 震える声で俺達に聞き返す男性に、飯田がそうですと答えると男性は、まさかそんなはずは………と何やらブツブツ呟いており飯田が部屋を教えていただければ直接持っていきますよ?と言えば、男性は首を振りこう言った。 「あなた方が言っていた女性なのですが、確かにこのマンションに住んでいました……… ですが、彼女はもういないんです……… 三年前にこのマンションから飛び降りて亡くなったのですから………」 男性曰く、三年前に大手企業に勤める女性がこのマンションに住んでいた。 ヒール靴を鳴らし、スラリと伸びた足が美しくピンとした背筋も綺麗なとてもとても美しい女性だった。 性格もとても明るく、管理人の男性にもよく挨拶をしてくれた礼儀正しい女性だったのだが彼女には悩みがあった。 それはストーカーだった、それも一人じゃなく複数で彼女はそれが悩みの種でありよく警察に相談していた彼女を目撃していた。 ところがそんなある日の夜、仕事から帰って来た彼女がマンションに帰宅した数分後、警察官が彼女に頼まれ部屋にストーカーからの痕跡がないか調べてほしいと連絡があったから部屋番号を教えてほしいと言われ素直に教えた。 そして数時間後大きな音が外から響き、慌てて外に出れば先ほどの警察官とそして彼女が地面に倒れおびただしい血を流していたのだ………。
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