第一章 -1- 白い牢獄

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第一章 -1- 白い牢獄

 天に坐す我らが父よ。  命儚き散る定めの我らの前に、今一度その御身を現し給へ。  今やすべての神々は天より姿を消し、滅びの大地を抱き眠る。  神の存在しない天に、何の意味があるのでしょうか。  ただ縋るばかりの人は、この滅びの時を如何にして乗り切るのでしょう。  どうかこの世の危機に、長き睡夢より目覚め給へ。  我が声、我が祈りが届いているのならば、久遠の眠りより目覚め給へ。  天に坐す我らが母よ、今ひとたび我らに慈愛の手を差し伸べ給へ……。
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