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目が覚めたのは、空が夕暮れ色に染まっている頃だった。
――赤い赤い。
世界が炎に包まれている。何もかもが、鮮やかな真紅に飲み込まれる。全てを焼き付くし、悲しみ嘆く人の全身から溢れる涙が大地をより赤く染める。苛烈ながら美しい色彩に、青く清らかな大地は滅ぼされる。
それは不安定な未来。
いつか訪れる、世界が終わるその瞬間。
当然のように巡る毎日に終止符を打つのは、予言されし滅びの天使。全ての天使が知る、最悪の未来予想を、人は誰一人知らない。
時に安らかな、時に悪夢めいた夢をみながら、明日が来る事を信じて疑わない。
知らない事は幸せであり、悲しいほどに愚かだ。
そして知る者は、微かな希望に縋りながら、心の奥深くで絶望するのだ。
果たしてどちらが憐れなのだろうか。
そう、問うた人は一体誰だっただろう。
記憶の片隅に残る言葉をぼんやりと思い浮かべて、ラキエルは赤い空を仰いだ。
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