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仕方が無い。ラグナはラキエルとは違い、きっと一睡もしていなかった。牢屋で十分すぎる休養を取ったラキエルに比べ、ラグナの消耗が激しいのは当然だ。だから、道案内を終えたラグナが、意識を手放しても問題は無い。
問題なのは、眠ってしまったラグナの、脇腹辺りから伝う液体。どろりとした嫌な感触。暫くは気付かなかった。黒衣に身を包み、視界も暗かったため、彼のそれに気付けなかった。いちいち大袈裟なラグナは、些細な怪我でも大騒ぎをしそうであるのに、彼は一言も言わなかった。
ただ、連れて行けと。それだけが、窮地のサイン。
黒衣に染み込み切れなかった血が服を伝い、ラキエルの指先に絡みついたのは、ラグナが静かになってしばらく経ってからだった。ようやく街の光を見つけ、歩調も早まってきた頃、不快感のあるそれの存在と理由を知った。しかし、手当てするにも、どこかで落ち着かなくてはいけない。街に入れば、宿くらいはあるだろうと踏んでいたラキエルは、寂れたこの空間に焦りを感じた。
どこへ行けばいいのだろう。
閉ざされた扉ばかりが目に付き、ラキエルの焦燥感を増長させる。
いよいよ狭い街の出口まで辿り着いたところで、ラキエルは足を止めた。
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