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薄暗い部屋の中で、シシリアは目を覚ました。
純白のレースのカーテンによって緩められた朝陽が、完全に開ききらない瞳を刺激する。眩しいと感じながら、シシリアは一度大きく息を吸い、吐き出した。
寝起きでぎこちない身体から、力が抜けていく。
全身は氷りついたように冷たく、重力によって寝台に縫い止めれた手足に感覚が無い。己に心音があるのかも分からず、生きた心地のしない目覚めであった。
金縛りにでもあっているのだろうか。シシリアは己の身体が人形のように空っぽになってしまった感覚を覚えた。酷く身体が気だるい。
過剰な眠りの後の倦怠感ではない。
疲労が極限まで蓄積されたわけでもなく、不治の病に侵されているでもない。だが、シシリアは身体が少しずつ、内側から綻びていくようだと感じた。
日に日に目覚めが辛くなっている。
ゆっくりと身体を起こし、もう一度息を深く吸い込み、吐き出す。
瞳を閉じて、シシリアは天を仰いだ。
少しの運動が酷く辛いと感じたのはいつごろだっただろうか。
シシリアは決して身体の弱い少女ではなかった。
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