第二章 -9- 命の巫女

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「目を覚まされたのですね。お加減はいかがでしょうか?」  扉を閉めて近づいてきた女が、声を掛けてきた。優しく落ち着いた、やや低めの声だった。 「悪くないけど、ここはどこだ?」  女がベッドサイドに盆を置くのを横目に、ラグナは問い返す。 「ここはドルミーレの村の端にある、私の家です。私はシシリア・ヴェルディス。この家の主です」 「オレはラグナ。連れがいたはずなんだが、知らねぇか?」  ラグナの礼を欠いた言葉にも嫌な顔をせず、シシリアは安心させるように微笑んだ。 「隣の部屋で眠ってます。お二人とも怪我をされていたようなので、差し出がましいかもしれませんが手当てをさせて頂きました」  なるほど、傷が痛まなかったのは、手当てを施してもらえたからか。  などとどこかの馬鹿みたいに素直に納得できるわけがない。いくら自分達天使が再生能力が高く、人間よりも頑丈にできているとはいえ、一日そこらで傷が治るはずない。あの程度の傷ならば、最低でも完治に一週間は必要だったはずだ。手当てを施したと言っても、人間の縫合術や薬の効果など、たかが知れている。  それとも、一週間以上眠っていたとでも言うのか。 「迷惑をかけた。一つ聞きたいんだけどさ、オレはどれくらい眠ってた?」     
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