第一章 -3- 脱走

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 ラグナの協力があれば、ラキエルもこの牢獄から出れる。けれど今は、ラグナの力無しにここから出るなど、無理な話なのである。ラキエルにはラグナを信じるより他に道は無い。 「ここからは出してやるさ。でも、逃げるのは夜だ。昼は天使どもが徘徊してるし、あんたがまた神殿の奴らに絡まれたりしても厄介だからな」 「じゃあ、それまでここに隠れているのか?」 「ああ。あんたはここで静かにしてればいい。オレは外の様子を見てくる。夜になったら迎えに来るから、それまでは寝たふりしてろ」 「なんでふりなんだ?」  寝てろとは言わないラグナの言葉に疑問を持ち、ラキエルは尋ねる。 「またここにじじぃが来たとして、あんたが嘘を吐き続けられるか怪しいからな。じじぃなら寝てる奴を起こそうとはしないだろ。だからって本当に眠って、オレに起こす手間を掛けさせんな」  実に自分本位な答えを返され、ラキエルは閉口した。  なるほど、これではディエルも頭を抱えるわけだ。ラグナはわざと相手を怒らせるような言葉を投げては、その反応を楽しんでいるのだ。そんなラグナの言動にいちいち言い返していては、ラキエルの方が参ってしまう。  あえてラグナの言葉を無視して、ラキエルは軽く頷いた。  壁際まで下がるとそのまま床へと腰を下ろす。それを見届けたラグナは一瞬つまらなそうに瞳を細めた。 「じゃ、また後でな。寝てたら置いていくからな」     
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