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ラグナが神殿にいるので、サリエルは神殿の近くのどこかにいると聞いていた。けれどまさかこのような形で会う事になるとは予期せず、ラキエルは女神を穴が開くほど見つめた。
女神の姿がこんなにも幼げな娘だとは思わず、呆然とする。
そんなラキエルに微笑んで、サリエルは申し訳無さそうに小首を傾げた。
『驚かせてしまったようですね……。わたくしは貴方の事をずっと前から知っていました。アルヴェリアと同じ瞳を持つが故の不遇も、滅びの女神の呪いの事も。助けてあげたかったけど、わたくしに貴方を救う力がなかった……。ごめんなさい』
サリエルに非などないのに、女神はまるで己が罪を犯したかのように謝罪の言葉を述べた。
ラキエルは慌てて首を振って、床に方膝をつき、恐れ多いとばかりに頭を垂れる。すぐそばでラグナが呆れたように笑ったが、ラキエルはそれを無視した。
「いいえ……。でも、何故ラグナだけでなく俺も助けてくださったのですか?」
先程の金色の光の介入は、サリエルの力だったようだ。
女神の愛で子ラグナの危機にサリエルが動いたのは理解できるが、何故ラキエルまで助けたのだろうか。それが気に掛かり、女神に問いかける。
サリエルはふんわりと優しい眼差しをラキエルに向けた。
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