嫉妬深い女

それから一年後、“元カノ”はいなくなった。
どうしてかって？俺が結婚したからだ。
相手はウソみたいな事実を話して、唯一信じてくれた女。
“元カノ”がいくらメールや電話をよこしても動じなかった。
「現実にそばにいるのは“元カノ”じゃない。私よ」と励ましてくれた。
彼女に根負けしたのか、それからは何の反応もなくなった。
「いなくなったよ」と彼女に告げると「よかったわね」と一言。
“元カノ”がどうしてるのかは知らない。
でも幸せになってくれてたら良いなと思う。
今、俺が幸せだから。

こんな機種あるんだな。
電源は切れないし、通信制限もない。
適当におだてときゃ喜ぶし、現実の女みたいに金もかからん。
何より通信費がタダってのが一番だ。
「ずっとアナタだけ見てるんだからね」
「僕もだよ、ハニー」
フィギュアとパソコンだらけの部屋でゲームをしながら、
スマホに向かってつぶやく。
おまえだけだよ、俺の趣味に文句を言わないのは。
自分の部屋に引きこもって10数年、やっと俺にも春が来たってわけだ。