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「もっとアタシに構ってよ!スマホなんか見てないで!」 「おまえがスマホだったらずっと見ててやるよ」 元カノとの最後の会話。 告白されてOKはしたものの、 あまりの嫉妬深さに辟易して1週間で別れを決めた。 それは売り言葉に買い言葉で出た、全く意味のないものだった。 翌日。 朝からスマホの呼び出し音がうるさい。 ベッドの枕元に置いたスマホを見る。何の反応もない。 音がするのは居間からだった。 まさか昨夜友達と居酒屋で飲んだ時に誰かのをパクった? 慌てて居間に行くと、 見覚えのないスマホが1台けたたましく鳴っていた。 ヤバイなぁと思いつつ電話に出る。 「すいません、昨日間違えて持ってきてしまったみたいで…」と言いかけた時 聞き覚えのある声がしてきた。 「アタシよ!」と元カノの声。 「アタシ、スマホになっちゃった!」はしゃいだ声が聞こえてくる。 何の冗談だ?ふざけんな!と怒鳴り返すと、 俺のスマホの方からメールの着信音。 メールを見ると“元カノが行方不明になった”と書かれていた。 マジか! あれから1週間。元カノは未だに行方不明。 俺の手元には“元カノ”と称するスマホが1台。 このスマホの持ち主は現れてこない。 『落とし物』として交番に持っていったが、 翌朝には俺の元に戻っている…ってホラーかよ! それからというもの女友達と喋るだけでけたたましい着信音を鳴らされる。 相手が女性というだけで、罵詈雑言の羅列メールが何通も届く。 無視をすればするほど、 文句や愚痴のメールや電話が続くのだからたまったもんじゃない! 電源オフにしてもダメ。捨てても戻ってくる。 『ずっと見てるんだからね!』というメールが届くたびゾッとする。 俺の生活は“元カノ”によって支配され続けた。
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