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やはり最上は反応しない。
特に返答を期待していた訳ではない。奈緒子は一方的に話し掛け続けた。
「食事を作る前に部屋の掃除をしましょうか。ほら、本棚にも少し埃が溜まって……え?」
棚の上面を撫でる手が、途中で止まる。
――何故、今まで気が付かなかったのだろう。前までここにあったものが無くなっている。
「先生……酒井教授との写真は何処かに仕舞ったんですか?ここに飾ってあった、学長賞の記念写真は」
「捨てたよ」
最上は掠れ声で答えた。
久し振りに最上がまともに話した事にも驚いたが、それよりも話の内容に面食らった。
「どうして……!?」
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