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「ところで、一連のあれこれで最上先生が罪に問われるなんてことは……」
「無いだろうな。最上のやってきた事は、全部大学内での問題だからよ。図書館の古本を勝手にこっそり隠してたってのは、お前ら城北大が処理する事だろ」
「そうですか」
加々見からの答えを得て、奈緒子は心から安堵した。
「城北大学側は、今回の件に関して、最上先生を英雄に仕立て上げるつもりです。亡き恩師の遺志を引き継ぎ、古人たちの叡智の宝を守り切った人なのだと。そうする事で、安達という犯罪者が城北大学に存在した事実を霞ませようとしています」
「そりゃあ最上にとっちゃ苦行だな。ただでさえ一連の事件で憔悴しきってんのに、大学の評判を落とさないためのクリーンなイメージキャラクター像を押し付けられんのか」
加々見の苦笑いには同情が滲んでいた。
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