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事件は収束したと言うのに、最上先生は、どこまで苦しまなければならないだろう。
その苦しみを、どうすれば取り除くことが出来る?
加々見は奈緒子の表情を観察しながら、相変わらずの気怠げな様子で口を開いた。
「随分前に『最上はヤバそうだ』って言ったろ?」
「ええ、覚えていますよ」
城北大学資料館での事件――館長の親戚を騙る女が所蔵品の窃盗を試みたが、最上先生がそれを見破り阻止した――の顛末を聞かされたあの時だ。
今思えば、その時の犯人のキャバ嬢は、津田准教授と繋がりのある人間だったと分かる。
女癖の悪さで有名な津田准教授にとって、城北大学界隈の女は安達先生だけではなかった。そして、言葉巧みに協力者に引き込んだのだろう。
しかし、当時は私も加々見さんたちも、津田という黒幕に辿り着けなかった。それどころか、最上先生に対して疑惑を抱いていた。
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