もがみがわ

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だけどこれは、他でもない『今』読まなきゃいけないものなのだ。 そして、酒井教授が最上先生にとどめを刺すとは、とても思えなかった。 どれほどの畏怖があろうとも、一歩を踏み出さなければならない。 「私が最初に読みます……良いですね?」 最上は虚ろな表情だったが、確かに頷いた。 奈緒子は筆箱の奥底からはさみを取り出し、注意深く封筒の端を切る。 三つ折りに畳まれた便箋を、丁寧に開いた。 よほど病状が悪化していたのだろう、文字は薄く、震えていた。 読めない程ではなかったが、残り僅かな自身の運命を悟り、最後の力を振り絞った事が伝わってくる。胸が張り裂けそうになった。 これは、准教授としての最上先生へのメッセージと、それから――
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