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課内一の人気を誇る男が見参したことで、女性陣も一斉に色めき立つ。
「芦田くん!」
「だってあの最上先生ですよ?去年の文科省の研究助成審査にも通っていましたし。あの審査、『出すだけ無駄の超難関』って言われているにも拘わらずですよ。きっと最上先生は、人の寄り付かないあの部屋に籠って、論文執筆を進めていたんですよ」
芦田からやんわりと諭され、女性たちのトーンが落ちる。
「確かにそれはそうだけど、でもー……」
「あ、皆さん何か注文されます?塩レモンサワーとか美味しそうですよ」
ヒートダウンした会話の隙を埋めるように、芦田がすかさずメニュー表を差し出した。
「あらっ、芦田くんのお薦めなら頼んじゃおっかなー」
「私も私も!」
「じゃあ私はお化粧直しに行こうかしらー」
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