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女性陣はわらわらと塊になって去っていく。
嵐が去った跡のように座布団が散乱する空間には、奈緒子と芦田だけが残された。
人の密度が減った空間は、さっきよりも息がしやすい。
「ありがとうございました」
「ん?」
「話を逸らして下さったこと」
奈緒子が言葉少なに囁くと、芦田は「ああ」と頷いた。
「鈴原さんにとって、最上先生は直属の上司のようなものだもんね。『空き部屋に女を連れ込む』なんて悪口みたいなこと……誰だって同僚と上司の板挟みにされたらキツいよ」
そこで一旦ビールを大きく煽ると、芦田はほんのり顔を紅く染めて、饒舌に話を続ける。
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