それは……

3/9
前へ
/9ページ
次へ
外はひどい雨だ。 私は痛む足を引きずっていた。 「全く、学校から突然連絡が来たからビックリしたわよ」 「ごめん……」 「階段から足を滑らせたんですって?」 「うん……」 「あんたはおっちょこちょいなんだから、気をつけなさいよ?」 「うん……」 本当の事を言えば、母は悲しむだろう。 だから私は、ケガの本当の原因を黙っていた。 本当は── クラスメイトに階段から落とされた。 私はいわゆるイジメられっこというヤツだ。 クラスでは日常的に疎外され、悪口を言われ、たまにこうして暴力的な事までされている。 学校は地獄だ。 (あの子……) 私はさっきの少年の事を思い出していた。 ぐちゃぐちゃのおじさん。 そんな人いるわけないとはわかっているが…… 「お姉ちゃんもおじさんに会えるといいね」 その言葉が妙に気になっていた。     
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加