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「あたし、キレイ?」
と聞き、キレイというと大きいマスクをはがして
「これでもお?」
と耳まで避けた顔を見せてくる。逆にブスというと手に持っている鎌で同じように口を裂かれるという。
100mを3秒で走るというので子どもどころか、大人でも逃げ切れるわけがない。
オリンピックに日本代表で出てもいい記録だ。
そんなのが江戸時代にもいただなんて本当だろうか?
須藤先生の、そうなんですか?という言葉に本田先生は気分を良くしたようで、ニコニコ顔のまま続ける。
「そうなんですよ。江戸時代のころ、夜に女に会ったらその口がぱっくりと耳まで裂けていた、という話があるんですね」
まるで人に教えるような口調で本田先生は言う。
それもそうだ、ここは小学校の職員室。
ここにいるのは全員が先生であり、人に物事を教える職業の人たちなのだ。
「じゃあ、昭和に現れたその口裂け女は江戸時代に現れた口裂け女と同じものなんですか?」
椅子に座った北村先生が本田先生に聞くと、本田先生は腕を組んで皆の顔を一巡する。
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