2019

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恥ずかしくて情けないが幾ら暴れても仁はびくともしなかった。ほんの一瞬並んだように感じたのは気のせいでこれから先も並べる日なんて来ないかもしれない。 見られに見られてクラブを出た所で待っていた司が目に入り、渾身の力を込めて仁の肩から飛び降りて、困った顔で優しく笑っている背中にささっと隠れた。 仁はグリスで固めた髪をグシャっと?き回し、わざとらしい溜息を付いた。 その、迷惑そうにする仕草がムカついて腹の底がムズムズするくらい熱くなってきた。 「お前はまだ「神崎」なのか、チビん頃から変わらないな。こんな格好で迎えに行って恥をかいたのは俺だぞ」 「あんたなんか嫌いだ!さっきも俺の事関係無いって言ってただろ!迷惑なら放っといてくれ!」 「関係ないんだから仕方無いだろ、どこの役所で調べても正真正銘お前と俺は赤の他人だ」 「は?じゃあ俺は何でこんな顔してんだよ!」 「そんな事は神様に聞け!俺がデザインした訳じゃない」 「そんな事言ってない!」 「何言ってんだ、今聞いただろ」 「あんた馬鹿じゃ無いの?」 「あ?お前誰に向かってそんな口を利いてる、ふざけんのか?お前がふざけるなら俺もふざけるぞ。」 「ふざけるか!ふざけてんのはどっちだよ!!」 「………仁……」 今すぐ……知らん顔してこの二人を捨てて行きたい。
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