第一章 月が堕ちる森

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 朱火(あけび)駅という、やや郊外にある駅に隣接するビルの屋上には、 昔、風呂屋があった。 銭湯というものにも近いが、階下がカプセルホテルになっていたので、 大浴場も兼ねていた。  しかし風呂屋は、度重なる心霊現象に、客足が遠のき閉店に追い込まれた。 そして、閉店後も心霊現象は減らず、安価で貸し出されていたので、今は俺が住んでいる。  俺は、上月 守人(こうづき もりと)薬剤師を目指す大学生をしている。  俺は、早朝、同じ屋上にある、喫茶店ひまわりでバイトをしていた。 そこで、店を手伝ってくれた、 八重樫 俊樹(やえがし としき)と映画を観る約束をしていた。
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