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俊樹は、よく働き、よく笑い、気が利くという、
店員にずっといて欲しいという人材であったが、ここにいるのは分身であった。
俊樹の本体は、生贄に選ばれていて、今は市役所の地下で眠っていた。
喫茶店ひまわりは、朝は下に宿泊しているカプセルホテルの客に、
モーニングメニューを出していた。
モーニングメニューといっても、ただの定食であったが、安価なうえに量が多く美味しい。
カプセルホテルの客が終わると、一般の客も食べにくる。
「俊樹、モーニングが終わったら、映画に行こうな」
俊樹は生贄に選ばれているので、残っている時間が少ない。
せめて願いを叶えてやりたいが、最後は映画を観たいとしか言わない。
もう、外の世界を見る、守人様に会う、金を稼ぐなどの、やりたい事は叶ったのだそうだ。
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