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「八重樫さんの物件ですか?」
「いいや。今度は谷津(やつ)のだよ」
ここで、俺も俊樹の顔が見られない気持ちになる。
この谷津は、俺の幼馴染で親友でもあった。
俊樹と同じ生贄であったが、俺は谷津は助けてしまった。
「谷津さん、こっちに住むのですか……」
「谷津も家族も何も失ってしまったしね。せめて、夢を追い掛けて欲しいよ」
谷津は、ゲームを作っている。
俺は、ゲームの良し悪しは分からないが、谷津の能力は認めていた。
目を逸らし続けているわけにもいかないので、俺が俊樹を見ると、
俊樹は泣きそうな顔をしていた。
自分で生贄の選択をした俊樹であっても、やはり迷うのであろう。
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