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「助けた事は、ある」
リナが、ゴクリと唾を呑み込んで覚悟を決めたかのように言った。
ヒュオォ……とその場に風が吹いて俺達の髪と服を撫でる。
ブルッと身震いするが、今はそんな事どうでも良いんだ。
「なんで……」
「でも、それはアタイが困ったヤツを放っておけないからってだけだ、他に隠してる事なんて何もない」
「じゃあ、なんで万里姉達はあんな事……」
リナのその言葉に、嘘偽りはないと思う。
でも、それならそれで万里姉達のあの反応が気になるんだ。
だったらなんで、気まずそうに誤魔化したのか。それが知りたい。
「理雄、あのな」
「何だよ?」
リナは、首を傾げる俺の肩に手をグッと置いて真剣な眼差しを向けた。
「世の中には、知らない方が良い事だってあるんだよ。理雄も、自分が話したくない事を無理に聞かれたら嫌だろ? それと同じだよ」
その言葉が、グサリと胸を突き刺した。
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