父はどのようにして魚肉ソーセージで凶霊と戦ったのだろうか

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あれはねぇ、二人が大学院生の時、おかあさんが社会民俗学、おとうさんがロシア文学をそれぞれ専攻してたの、 おとうさんとの出会いは、東北の出張研究、東北の民間伝承とロシア文学の相似性の調査だったの、 だけど東北のそこら辺一体って沢杉村伝説の場所だったの、 沢杉村の都市伝説は前に聞いたことがあった、 うっかり迷い込んだらその村に巣食う凶霊に憑り殺される、 赤い鳥居とドクロの岩の先と言う以外に所在地が分からない、 おかあさんの高校生時代にサマーキャンプの怪談話で聞いたことがあったの、 調査に行く前、冗談で幽霊に襲われると周囲が脅かすと、教授なんか「もしなんか出てきたらビデオに撮影してマスコミに売って研究費の足しにしたい」とか言っちゃうし、 でも、若い時から浮世離れしているおとうさん、ポカンとしてその話を聞いているんだか、聞いていないんだかわからなかった、 おとうさんとおかあさん、東北に出かけて目当ての資料も集まりレンタカーを返して最終の新幹線に乗ろうとしたの、 だけど、なんだか、レンタカーのカーナビの調子が悪かったの カーナビの誘導通りに夜道を走ってたら、どんどん山奥へ山奥へ誘導されちゃって、 今は寂しい道だけどすぐに幹線道路に出るだろうと、高をくくって、カーナビの誘導にしたがったの、 レンタカーは普通の乗用車だけど四輪駆動、山奥の荒れた道は簡単に走れたの、 そして、どんどん山奥に入っていったの ライトに照らされて、いきなり荒れ果てた社が浮かびあがった、鳥居の色がはげ落ちていたけど元の色は赤か朱色のはず、 道にはみ出していた岩を注意ぶかく避けて通る時、振り返ったらドクロそっくりだった、 しばらく道を進むと崩れた小屋とか生活した後が左右に見え始めた、人が住んでいた気配だ、もうすぐ幹線道路だと思ったの、 そおしたら、道が突然無くなったの、そのころは辺りは真っ暗でその上、その上深い霧でまったく前が見えない状態、 何かが、道を塞いでいる、霧の切れ間から見えたのは廃屋だったの、よぉく注意して見たら周囲は廃屋だらけ、どうやら廃村のど真ん中か広場にいるみたい、 その時、カーナビの画面がプツンと切れたの 携帯電話で誰かに連絡を取ろうとしてもそこは圏外、 とん 何かが窓ガラスに当たった、 なんだ、落ち葉か、窓ガラスに張り付いたままになってる、 とん、とん また落ち葉、窓ガラスに張り付いている とん、とん、とん ちょっと待って、落ち葉が窓ガラスに当たっただけでこんな音する? とん、とん、とん、とん 窓ガラスに張り付ているのって落ち葉? 落ち葉? ねぇ、ホントの落ち葉? 違う 違う、 落ち葉じゃない、 手だ、人間の手だ、 とん、とん、とん、とん、とん、とん、とん、とん 闇の中から伸びてきた無数の手が車の窓ガラスをボディを押さえつけはじめた、 車のエンジンが停止し運転席の灯りが全て消えた、 カーナビの画面だけがぼんやりと暗闇に浮かび上がった、 電源が入っていないはずなのに… 現在地の地名が表示されている 「沢杉村0番地」 バン、バン、バン、バン 暗闇から伸びた無数の手が車を激しく揺すり窓ガラスやボンネットを激しく叩きはじめた、 ウ~、ウ~、ウ~、ウ~、ウ~、ウ~、ウ~ 最初、風の唸りかと思ってた、違った、無数の凶霊のうめき声だった、 うめき声はしだいに車に近寄ってきた。 都市伝説は本当だった、沢杉村伝説は本当だった、 「なんで、私がこんな目にあわなきゃいけないの!!」 「どおぉして、こんな所に連れてこれなきゃいけないの!!」 最初は誰にこの怒りをぶつけて良いかわからなかった、 次に沢杉村伝説が現実となった混乱、 「私、このまま憑り殺されるの?」 凶霊はどのような手段で攻撃してくるか分からない、 未知の恐怖に対する恐怖が恐怖を増強させて本当に怖かった、 そして、ここで命を落とす… もう、何やっても助からないって、諦めかけてたの、 「ここで待ってって、すぐ戻るから」 おとうさんは突然、運転席のドアを開けた、 「危ないから戻って、怖いから傍にいて」と叫んだけど、おとうさん既には車外だった、 おとうさんを追って車外に出ようとしたらハンドサインで押しとどめて、 おとうさんは霧の中に意識を集中し始めたの、 白い手や低級霊がおとうさんの顔の近くをかすめて通ってもまったく動じなかった、 霧の中の気配を探るように目線はゆっくりと移動していたの、 やがて、おとうさんの視線が霧の中の一点を凝視した、 視線を見据えたまま、心なし前かがみ、両足を肩幅に広げ、右手をベルトのバックルの位置に持っていって、 両足を揃え、手早くジーンズのベルトを抜き取ると、パンツもろともズボンをずり下げた、 おとうさんのまっ裸の下半身、股間の黒くてモジャモジャしたところから魚肉ソーセージがだらんと垂れ下がってた、 おとうさんの魚肉ソーセージは適度な硬さと弾力性があって、手でゆするとぶらんぶらんとしなってた、 「イヒヒヒヒ」 おとうさんは右手で自身の魚肉ソーセージを握ると薄笑いを浮かべた、 「きゃぁあはははは、凶霊ども、オレの魚肉ソーセージを見ろ~!!きゃぁあはははは」 奇声をあげ、自身の黒いモジャモジャ股間から垂れ下がった魚肉ソーセージをぶらんぶらんさせながら、下半身真っ裸の状態で霧の中に走りこんでいった、 「きゃぁあはははは、魚肉ソーセージだぁ」 「きゃぁあはははは」 霧の中におとうさんの奇声が響きわたっている、 「オレの魚肉ソーセージを見ろ!!うぎゃぁぁぁぁ」 「ぶらん、ぶらん、オレの魚肉ソーセージ、うきゃきゃきゃきゃ」 それに交じって凶霊たちの悲鳴が聞こえてきた、 おとうさんの魚肉ソーセージ、 手で振り回した遠心力で血液が先端部分に集中したことと、自分の手による刺激で極太ソーセージにメタルフォーゼして硬度も増した、 そして、手で支えなくても自立できる状態になっていた。 霧が一瞬晴れた、 おとうさんは下半身を天空に突き出していた 「ギャハハハ、大きくなったぞ~、硬くなったぞ~、オレの極太魚肉ソーセージ、ワハハハ」 パワーアップしたおとうさんの魚肉ソーセージを見て、凶霊たちの絶望的な叫びが霧の中にこだました、 「変質者が出た~」 「ニンゲンこわい~」 「変態いやぁぁぁぁ」 下半身真っ裸のおとうさんは手加減することなく 「凶霊ども~オレの魚肉ソーセージを見ろ~大きくなったぞぉぉぉ、硬くなったぞぉぉぉ、ぎゃははは」 自らの下半身のモノを握りしめ、凶霊を追いまわしていた。 「コケコッコー」 凶霊たちの中にはニワトリの鳴き声で朝が来たかのように装うモノもいた。 ニンゲンの変態に捕まってあんなことやこんなことをされるぐらいなら、 朝日を浴びて消滅した方がいい ほとんどの凶霊が夜明けを切に望んでいた。 だけど、そんな凶霊たちの願い、 おとうさんは許さなかった。 「ヘヘヘヘ、凶霊、見~つけた、ヒヒヒ」 「オラァ、凶霊ども~、オレの魚肉ソーセージを見ろ~~」 凶霊の姉妹が止めた車の横、崩れかけた馬小屋に逃げ込むのが見えた。 最初は大人の凶霊と一緒に村に迷い込んだ人間を憑り殺し死の世界に引きずりこもうと企んでいた。 でも、今は逆に人間の変質者に追いまわされている。 「おねぇちゃん、もう少しで夜明けだね」 「お日様が登ったら私たち消滅できて、あの変態人間から逃げられるのね」 凶霊のおねえちゃん、頭の上に不思議な感触を覚えた。 生暖か書く、適度な弾力性があって、そして棒状。 おねぇちゃんの頭上に乗せられていたのは、おとうさんの魚肉ソーセージだった、 頭上からおとうさんの不気味な声が降ってきた。 「エヘヘヘヘ、チョンマゲ~」 「いゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 その夜、沢杉村に響いた、もっとも大きな悲鳴だった。 ついに山の稜線から朝日が昇り始めた。 「ああ、逃げ切った~」 「変態につかまらなくて良かった~」 「これで、やっと消滅できる~」 昇る朝日に歓喜と感謝の言葉をあげながら次々と消滅していった、 凶霊たちは人を簡単に憑り殺せる本来邪悪なモノ、で太陽を忌み嫌う闇の存在であるにもかかわらず、 人間の変質者というか変態がホントに怖かったらしい、 朝日が昇っても、おとうさんは収まりがつかなかった、 下半身からそそり立つ、巨大化して硬度マシマシの極太魚肉ソーセージを握りしめ、 「オラァ、凶霊ども~、どこにいった~」 「オレの巨大魚肉ソーセージを見ろ~ギャハハハ」 おとうさん、未だに下半身まっ裸で無人と言うか無霊の村内を走り回っていた、 で、結局、その場のノリと雰囲気でおかあさんと合体して着床、 おとうさんの魚肉ソーセージはコンパクトサイズに戻り、 それから10か月と10日後に私が生まれた。 私が生まれたのを境におとうさんとおかあさんは研究者への道を断念して、地方都市の公務員と団体職員におさまった。
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