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「二十七です」
「あ、そうなんですか……」
まるっと小学校分違うと分かって落胆した。
「ガッカリしてます?」
橘は、尚晴の頭上に丸椅子を移動させて腰掛けた。次は首の付け根や頭の治療だと分かって、尚晴は枕に額をつけた。美容院で頭を洗われる時は物凄く緊張するのに、橘が探る様に触れてくる指先は気持ちいい。ある種、感動ものだった。
「だって、六歳も違うと思ってませんでした」
「五歳じゃないですか?」
「七月になったら、三十三になるんです」
「じゃ、学年だと六個違いってことになりますね」
「うわー……」
「それ、なんのうわーですか?」
色々あり過ぎるが、尚晴はまず頭に浮かんだことを言ってみた。
「変な言い方ですが、大人ですよね、先生って。開業もされてるし」
「いえいえ、さっき、お話しされていらっしゃいましたけど、父親が開いたんですよ。俺の名前が付いてますけど、まだ雇われの身です。患者様のほとんどは父が診させていただいていた方ですし。父は専門学校も経営していて本院の仕事があるので、ここで治療する日は少ないんです。俺は自由にやらせてもらってますけどね」
尚晴は促されるまま、仰向けに体勢を変えた。
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